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市町村財政における固定資産税
市町村の税収全体に占める固定資産税収入の割合をご存知でしょうか。下記は、大阪市における市税収入の推移表です。
多少の上下はあるものの平成8年から平成23年(予測)にかけて、固定資産税(都市計画税を含む。)収入の市税収入全体に占める割合は、おおよそ45%~55%で推移しています。
意外に思われるかもしれませんが、個人市民税や法人市民税を押しのけ、固定資産税収入の占める割合が断トツで高いことが見てとれます。そしてもう一つこの表で見逃してはならないのが、平成20年のリーマンショック後の推移です。
個人市民税と法人市民税に関しては、大不況のあおりを受けてリーマンショック後年々税収が減少しているのに対して、固定資産税は逆に緩やかに増加しています。
これは固定資産税が好況・不況の影響を受けない安定した財源であることを示しています。
また、もう1点固定資産税が安定した財源といえる理由があります。
それは、個人市民税及び法人市民税は、市内の人口・法人数の増減の影響を受けるのに対して、固定資産税は市町村合併あるいは法改正により税率が変更されるといったことなどが起こらない限り、基本的には一定の税収が見込める点です。
市町村にとっては、こんなに有難い財源はありません。
そして、我々が気を付けておかなければならないのは、固定資産税は税率を上げたり、後述する課税標準の特例措置や固定資産税の減額制度を廃止したりすることで、いとも簡単に税収をUPすることが可能な税金だということです。
不況が長引けば、ますます個人市民税と法人市民税の税収が減少することが予想されます。
そうなると、一定の税収確保のために固定資産税の税収を引き上げようとするだろうということも容易に想像がつきます。
だからこそ、いま固定資産税に関する本当のプロが求められているのです。
頻発する計算ミスによる還付事案
固定資産税は、所得税や法人税のような申告納税方式ではなく、「賦課課税方式」を採用しています。
「賦課課税方式」とは、市町村が税金の計算を行い、一方的に納税者に納税通知書を送って納税させる方式です。
納税者自ら計算したり、報酬を払って専門家に申告をお願いしなくてよいため、有難いように思われる賦課課税方式ですが、この市町村の税金の計算に誤りがあるとすればいかがでしょうか。
現実には、近年固定資産税の計算誤りが発覚し、過大徴収された固定資産税が還付される事例が頻発しています。
では、なぜ固定資産税でそのような事例が頻発するのでしょうか。
それは、「固定資産税にはプロがいない。」ことが最大の原因であると思われます。
納税者は、固定資産税の仕組みをほとんど知りません。まさか市役所が送ってくる納税通知書に記載された固定資産税額に誤りがあるなんて思いません。
税のスペシャリストであるべき税理士にも、固定資産税に関しては本当の意味でのプロはほとんどいません。賦課課税方式であるがゆえに納税者から相談を受けることも少なく、そもそも固定資産税を勉強している税理士はごく少数です。
そして、固定資産税の計算をする当事者たる市役所の職員ですが、これまた固定資産税のプロであるはずがありません。市役所の職員は、固定資産税の計算をしたくて市役所に入ったわけではありません。単に市役所に就職したら偶然にも資産税課に配属されただけなのです。そして、その資産税課の職員も3,4年もすれば別の課に配置転換されます。固定資産税のプロになりえないのです。
このような状況ですので、固定資産税の計算ミスは起こるべくして起こっており、一旦起こってしまうと長年にわたって誰にも検証されることなく誤りが放置されてしまうのです。
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